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THE ROAD TO “MASTER”

村山 聖は、谷川浩司が21歳で「名人」に就位したことを契機に、
自分もプロ棋士になり名人を目指す決意をする。
名人になるためには、以下のステップを経る。しかし、この関門をくぐるためには途方もない困難が伴う。

  • Step1

    奨励会入会

    プロ棋士を目指すためには、東西「新進棋士奨励会」への入会が主流。奨励会に入るためにはプロ棋士の師匠を持つ必要があり、さらに厳しい入会試験が存在する。村山聖は森信雄の弟子となり奨励会入会を果たす。これが、村山と劇中でリリー・フランキー演じる森との出会いである。森は、以降次々と弟子を取り、現在では女流含めプロ棋士10名以上の弟子を抱える大所帯で、竜王位を獲得した糸谷哲郎八段、初代叡王の山崎隆之八段などトップ棋士らが活躍する。

  • Step2

    奨励会を勝ち抜き四段プロデビュー

    奨励会に入れば必ずプロ棋士になれるというわけではなく、6級から三段までの奨励会員たちが、昇級・昇段争いを繰り広げている。昇級・昇段のためには、各級・段位で既定の成績を収める必要がある。そして三段に昇段すると三段リーグに所属、半年間に及ぶリーグ戦を戦い抜いた上位2名だけが四段昇段=プロデビューとなる。三段リーグは年2回実施、1年間でプロ棋士は4名しか誕生しない、非常に狭き門である。さらに、年齢制限があり、満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日までに四段昇格できなければ退会処分となる。これは奨励会員を追い詰める大きなプレッシャーとなる。劇中で染谷将太演じる江川は負けたら退会という一戦で鼻血を出して奮戦するが、これはけっして大袈裟な話ではないのだ。加えて対戦相手は、はるか年下の中学生―年齢に関係なく才能ある者だけが勝ち上がることができる非情な世界であることもわかる。村山聖はというと、三段リーグ発足直前に四段プロデビューを果たしており、奨励会を2年11か月で抜けるスピード出世であった。

  • Step3

    順位戦を勝ち抜き「A級」昇級

    四段となると順位戦でC級2組の所属となり、1年かけてリーグ戦を戦う。C級2組では成績上位3名がC級1組に昇級となり、以降リーグ上位2名がB級2組、B級1組、A級へ昇級していく。このように、デビュー後すぐタイトル獲得のチャンスがある他のタイトル戦と違い、順位戦でクラスを1年かけて上げていかねばならず、名人挑戦権獲得チャンスのあるA級にたどり着くためには最低でも4年は必要なのだ。21歳で名人となった谷川は5年という驚異的スピードで、羽生は7年、村山は8年でA級昇級を果たしている。

  • Step4

    A級の総当たり戦でトップとなり名人戦出場権獲得

    A級棋士は名人を除き10人だけが所属できる将棋界の顔である。10人で総当たり戦を行い、順位1位が名人位をかけて名人戦を戦う。村山はA級棋士となり名人位の一歩手前まできていた。しかしA級1年目は4勝5敗で8位止まりとなり、2年目は体調の悪化により長時間の持ち時間がある順位戦では星を伸ばせず、B級1組に降級となる。しかし、膀胱癌の大手術を乗り越え1年でA級に復帰を決める。A級棋士であることが名人への道であり、本作でも村山の強い想いが描かれている。

  • Step5

    名人戦で勝利し名人位奪取

    名人位は江戸時代初期から続く最も歴史あるタイトルで、1937年にそれまでの世襲制から実力制の名人位制となった。現在は順位戦を名人戦の予選と位置付け、毎年A級覇者が挑戦者となって現名人と名人戦七番勝負を行う。2日制で持ち時間はタイトル戦最長の9時間。実力制に移行してから名人に就いた棋士はこれまでたったの13人であり、選ばれし者しか辿りつけない頂きである。さらに、名人位を5期以上保持した棋士には永世名人の資格が与えられ、現在までに6名のみ。谷川と羽生は永世名人の資格保持者である。